よくある質問
医療法律相談Q&A
わからないことや疑問に感じたことがございましたら、こちらのページをご覧ください。
弁護士に相談する前にカルテを取り寄せてもいいですか?やってはいけないことはありますか?
まずは、開示を求める医療機関が電子カルテシステムなのか、紙カルテ方式なのかによっても違ってきます。
紙カルテ方式の場合は、電子カルテに比べて改ざんなどが容易なため、弁護士に相談してから、カルテ等の取り寄せ(自己開示請求)を行ったほうが安全です。
近年、病院側のカルテ開示も進み、弁護士のところに相談に来る前に、患者さんやご家族自らカルテ等の自己開示請求(診療録、検査表、レントゲン・CT・MRI等画像、を病院に請求する手続き)を行われる方が増えましたが、電子カルテシステムを採用している医療機関の場合は、通常の開示請求では、修正履歴までは開示しませんので、自分で開示請求を行う場合は必ず修正履歴も含んだものと指定して開示請求を行ってください。
しかし、一方で医療訴訟・医療ミスに関わる弁護士側からすると、カルテ等の自己開示請求を行うことで、医療機関側が構えてしまう、準備してしまう、改善されてしまうなどの可能性が出てきます。改ざんまでしない医療機関でも、紛争に慣れていない多くの医師・看護師は、カルテの自己開示請求がなされると、紛争化する予感を感じて身構えることが通常です。
事実として、医療ミス、医療過誤が起こっていた場合であれば、人間の心理としてあらかじめカルテの改ざんや隠ぺいをしておこうと考えてしまうこともあります。カルテの改ざんや隠ぺいなんて滅多にないと思われる方が多いと思いますが、実際は、紙カルテ方式の場合は、カルテに加筆したり、修正したりすることはできます。まずい記載や、まずい資料・画像が破棄されてしまうと、証拠がなくなってしまうことにもなります。診療録や画像など客観的な資料は、医療訴訟を行うにあたって、最も重要な証拠になります。証拠がなければ、医療訴訟の証明ができなくなってしまいます。改ざんや隠ぺい、破棄が行われてしまうことは絶対に避けなければなりません。一方電子カルテシステムの場合は、電子カルテ自体、改ざんが出来ないように設計されているので修正履歴まで開示されていれば、他の資料(検査結果など)が未提出となっていても、履歴から類推できますので、改ざんなどの心配はあまり必要ありません。
転院先や紹介元の病院、診療所に対しては、自己開示請求を利用することができますが、転院先や紹介元にカルテ等の自己開示請求をすると、そこから相手方病院に対し連絡がいくことも考えられます。医療機関同士の連携は密で、医師同士が同じ出身大学、同じ医局出身者であるなど関係することも多いです。相手方病院のカルテが改ざん・隠ぺいされる危険がありますのでカルテ等の自己開示請求をする前に、弁護士にご相談いただいたほうが安心です。