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産科医療特別給付事業の申請がスタートしています

2025.02.12

富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
司法試験に合格し、弁護士事務所での経験を積んだ後、国立大医学部を卒業し医師免許を取得
外科医としての勤務を経て、医療過誤専門の法律事務所を立ち上げました。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、法律と医学の両方の視点から産科を中心とした医療問題について発信します。
出産のトラブルでお困りの方は、是非一度お問い合わせください。


2025年に16歳を迎える方(2009年生まれ)、生後6ヶ月以降に亡くなった場合も給付が受けられます!諦めないで!


2025年1月10日より、産科医療特別給付事業の専用サイトにて、給付申請用紙の取り寄せ(WEB申請)が開始されました。産科医療LABOでは、以前より同事業に注目してきましたが、今回のコラムではついにスタートした給付申請について情報発信しています。

産科医療特別給付事業とは

産科医療補償制度で2009年から2021年まで実施されていた個別審査によって補償が受けられなかった方を対象に、一括で1200万円の給付金を支払うというものです。
また、同期間に出生し、出生年ごとの給付対象基準を満たしているものの、産科医療補償制度の申請を行ったことがない場合も産科医療特別給付事業の給付申請が可能です。

個別審査は2022年に廃止されていますが、個別審査によって対象外とされた方の約99%が本来であれば補償対象であったことが後の調査でわかっています。医学的根拠のない審査によって補償が受けられなかった子ども達に対する救済として、当事者であるご家族が中心となって政府に交渉し続けたことで実現した事業です。

どうやって申請するの?

まずは給付対象かどうかを確認します

産科医療特別給付事業のパンフレットを参考に説明します。

出典:産科医療特別給付事業HP
  • 出生した年が[2009年~2014年]、[2015年~2021年]で在胎週数や出生体重の基準が異なるため注意が必要です。
  • 脳性麻痺の要因が、先天性や新生児期による場合は①と③を満たしていても対象となりません。
  • 身体障害者障害程度等級1級または2級相当の脳性まひに該当するかどうか、確実ではない場合も申請は可能です。申請後、機構による審査によって判断されます。

脳性麻痺の重症度のおおよその基準についてコラムで解説していますのであわせてご一読ください。
産科医療補償制度の補償対象となる「重症の基準」って?

フローチャートでも申請可能か確認できます

出典:産科医療特別給付事業HP

給付申請の流れ

給付申請の流れは次の通りです。

  • 申請書類の送付
  • 申請受理・審査
    審査は、脳性麻痺の専門知識を持った産科医や小児科医などによって行われます。
  • 審査結果通知の送付・申請手続き
    審査結果通知は、受理通知書が送付されてから120日以内に送付されます。
  • 特別給付金の申請
    給付対象となれば、所定の書類を機構に送付し、特別給付金の申請をします。

給付申請書類の取り寄せ

産科医療特別給付事業のホームページから、必要事項を入力し取り寄せることができます。

産科医療特別給付事業ホームページ

給付申請書類の準備

申請書類には、①申請者が作成・準備するもの、②分娩機関から取得するもの、③専門の医師に作成を依頼するものがあります。

特に③の医師の診断書は、入手に時間がかかることも多いため、申請期間は2025年1月10日から2029年12月31日までの5年間設定されていますが、余裕を持って準備をすることをおすすめします。

①申請者が作成・準備するもの

  • 産科医療特別給付事業 給付申請書(別表第二書式)
  • 個人情報に関する同意書
  • 損害賠償請求に関する情報提供の同意書
  • 母子健康手帳の写し(「出生届出証明」および「出生の状態」が記載されたページの写し)
  • 分娩機関から交付された産科医療補償制度 登録証の写し 
  • 診療録等の写しの提出に関する同意書

Point💡なぜ損害賠償請求に関する情報提供の同意書を提出するのか?

特別給付金の支払いおいて、申請者が分娩機関から、損害賠償金を受け取っている場合、産科医療補償制度と同じく調整が行われます。すでに1200万円以上の損害賠償金を受け取っている場合は給付の対象外となります。また、1200万円以下の場合はその差額が支払われることになります。そのため、損害賠償請求の有無や、状況など機構への情報提供が必要となる場合があるからです。

②分娩機関から取得するもの

  • 産科医療特別給付事業にかかる出産証明書
  • 診療録または助産録および検査データの写し
  • 専用診断書作成に必要な書類
  • 診療録等の写しがないことに関する証明書(必要な場合のみ)

上記の書類は、分娩機関から直接機構へ提出を依頼することが可能です。

③専門の医師に作成を依頼するもの

  • 産科医療特別給付事業給付申請用 専用診断書☆

診断書の作成は、資格を持つ医師への依頼が必要です。

産科医療補償制度の診断書・診察医について|診断協力医一覧

※過去に産科医療補償制度に申請したことのある場合
産科医療補償制度に申請済みの方は、上記提出書類のうち、☆印のついたもののみ提出します。

支援を必要としているご家族はたくさんいる

産科医療特別給付事業の給付金1200万円は、本来支払われるべき産科医療補償制度の補償金3000万円の半分にもおよびません。満額の3000万円でも、重度脳性麻痺のお子さんを育てていくには決して十分な金額ではないのです。

現在の産科医療補償制度に関しても、先天的な疾患や新生児期の要因での脳性麻痺は補償の対象外となっています。同じように脳性麻痺のお子さんを生涯育てていかなければならないのに、大きな支援は受けられないのです。

国は、「給付金を支払って終わり」には、してほしくないと思います。

産科医療特別給付事業の給付申請についての問合せ先

産科医療特別給付事業HP

産科医療特別給付事業専用コールセンター

受付時間:午前9時半~午後5時(土日祝日・年末年始を除く)

産科医療LABOは、医療専門の弁護士法人富永愛法律事務所が運営しています。出産トラブルで「病院の対応に疑問がある」、「本当に仕方がなかったのか」などお悩みのことがありましたら、ご相談だけでもお受けしています。是非一度お問い合わせください。

この記事を書いた人(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。

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