新着情報
妊婦さんの発熱は赤ちゃんからのサインのことも?!絨毛膜羊膜炎(じゅうもうようまくえん)

富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
司法試験に合格し、弁護士事務所での経験を積んだ後、国立大医学部を卒業し医師免許を取得。
外科医としての勤務を経て、医療過誤専門の法律事務所を立ち上げました。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、法律と医学の両方の視点から産科を中心とした医療問題について発信します。
出産のトラブルでお困りの方は、是非一度お問い合わせください。
「風邪?」「もしかしてインフルエンザ?」――高熱が出たときにまず頭をよぎるのはこんなこと。ですが、妊婦さんの場合には、もうひとつ考えてほしいことがあります。それは、「赤ちゃんからのサインかも」ということです。
絨毛膜羊膜炎(じゅうもうようまくえん)は、子宮の中で赤ちゃんに感染が始まりかけることで、お母さんの身体にも様々な症状があらわれる病気です。絨毛膜羊膜炎とはどんな病気なのか、その症状・治療・予防について解説していきます。

どんな病気?
絨毛膜羊膜炎は、お腹の中にいる赤ちゃんを包んでいる「卵膜」の内側(絨毛膜と羊膜)に、菌やウイルスが感染する病気です。進行すると子宮の入り口をやわらかくしてしまったり、膜の一部が破れて破水を引き起こしたりしてしまい、早産を誘発します。
絨毛膜羊膜炎は、感染が進んで症状が現れる「顕性」と、その手前で無症状の「不顕性」とに分類されますが、「顕性」になって症状が進んでしまうと、早産を食い止めることが難しい場合があります。このため、早い段階でのサインをいかに逃さないようにするかが、とても大切とされています。
症状
絨毛膜羊膜炎が進行すると、妊婦さんに下記のような自覚症状がみられるようになります。
- 38℃以上の高熱
- 心拍数が増える(毎分100回以上)
- 下腹部の痛み、圧痛(お腹を押すと痛む)
- おりものなどの異臭
絨毛膜羊膜炎の治療
絨毛膜羊膜炎が起こった時には、赤ちゃんの育ち具合(特に、肺が育っているかどうか)を見て、個別に治療方法を決めていきます。
妊娠中期の終盤(妊娠26週)より前の場合、まだ赤ちゃんの肺は、お腹の外で生きていけるほど育っていない時期です。そのため、抗菌薬や赤ちゃんの肺を育てる副腎皮質ステロイドを使いつつ、できるだけ分娩を遅らせることを目標に治療していく場合が多いです。一方、26週より後なら、赤ちゃんに感染が及ぶ前に分娩が選択されることが多くなります。
症状が乏しい段階で見つけられたときは、抗菌薬や子宮収縮を防ぐ薬を使い、感染の広がりと早産を食い止めることを目指します。
症状がひどくなる前の対応が大切 ―予防と治療―
絨毛膜羊膜炎は、早産の主要な原因とされています。症状が出ないうちに見つけるのがベストなのですが、問題は「不顕性=無症状でお母さんはサインに気づくことが難しい」ということ。症状がなければ気づかないし、もちろん自分から受診することもできません。このことが、絨毛膜羊膜炎を早めに見つけるのを難しくしています。
ですが、妊婦さんは無症状でも受診する機会として「妊婦健診」があります。妊婦健診では、体重測定や尿検査、エコーなどとともに定期的に血液検査を行うことになっているので、もしも血中に感染のきざしがあれば、そのときに発見できることがあります。忙しくても、何も症状がなくても、妊婦健診は「最重要の予定」と位置づけて、必ず受けることをおすすめします。
また、絨毛膜羊膜炎は妊婦さんの体の表面付近で増えた菌が原因となることが多いです。それが体の奥に向かって広がる「上行感染」で引き起こされることが多いといわれます。つまり、膣内の細菌繁殖(細菌性膣症)や子宮頸管の炎症が起こっている方は、絨毛膜羊膜炎にもなりやすいと考えていいでしょう。
細菌性膣症のサインはかゆみ、下腹部痛、おりものの変化などです。これらの症状を見逃さないで、心配なことがあればぜひ医師に相談してください。そのほか、歯周病の菌が関わるケースがあることもわかっていますので、歯の治療も積極的に受けましょう。
感染に負けない生活を目指して
絨毛膜羊膜炎は、症状が出たときには早産を免れることが難しい病気です。早めに気づくためにも、妊婦健診の機会を大切にしましょう。また、疲れやストレスは大敵です。免疫力を保つためにも、健康的な生活をぜひ心がけてくださいね。

この記事を書いた人(プロフィール)
富永愛法律事務所医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)
弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。