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妊娠中の鎮痛・解熱剤の使用は要注意です!産婦人科学会から妊婦さんに重要な情報が発信されました
富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
司法試験に合格し、弁護士事務所での経験を積んだ後、国立大医学部を卒業し医師免許を取得。
外科医としての勤務を経て、医療過誤専門の法律事務所を立ち上げました。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、法律と医学の両方の視点から産科を中心とした医療問題について発信します。
2024年10月25日、妊婦さんにとって極めて重要な情報が、産婦人科の学会から産婦人科医の会員に向けて発信されました。
妊婦さんに対して投与してはいけない薬である、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)について、飲み薬と同じ薬効のある座薬、注射(カピステン筋注、ロピオン静注、ケトプロフェン筋注)、さらに痛み止めテープ(ケトプロフェン)や、パップ、ゲル、軟膏も、リスクがあることが明らかになったとして、薬についている説明書(添付文書)の記載内容が変わったことに注意するよう警告する連絡です。
NSAIDsは、聞きなれない言葉ですがとても身近にあるお薬です。お腹の中の赤ちゃんにどんな影響があるのか解説します。
NSAIDsとは?
NSAIDs(エヌセイズ)とは、非ステロイド性抗炎症薬といわれる鎮痛、解熱、抗炎症作用を持つ薬剤の総称です。
NSAIDsには、主に全身への作用を期待して用いるお薬(飲み薬や注射薬、座薬など)と、局所的に使用するお薬(塗り薬や貼り薬)があります。
飲み薬以外でも赤ちゃんの循環機能への影響が報告されています
今までも、NSAIDsは妊婦さんに使用することで赤ちゃんの腎機能障害と尿量の減少、それに伴う羊水過少症が報告されており、特に赤ちゃんへの影響が大きい妊娠後期の妊婦さんには禁忌とされているお薬もあります。
禁忌とされていない場合でも、投与しないことが望ましく、投与するとしても治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限って、必要最小限の使用にとどめるよう推奨されています。
今回の添付文書の改訂では、全身へ作用する飲み薬だけでなく、ゲルやハップ・テープなどの塗り薬や貼り薬でも赤ちゃんの動脈管収縮が起きた例が国内外で報告されていることから、妊婦さんへ投与した際には赤ちゃんに動脈管収縮を疑う所見がないかを確認するよう注意喚起が追記されました。
動脈管収縮とは、大動脈と肺をつなぐ血管が、本来はお腹の中では開いているはずなのにお薬の作用によって収縮し、心臓に負担がかかり赤ちゃんの心不全などを引き起こす可能性があります。
市販の頭痛薬にも含まれています!
薬局などで売っている鎮痛解熱剤にも、NSAIDsの成分が含まれているものがあります。赤ちゃんへの影響を知らずに服用してしまうと思わぬ副作用に見舞われることもあります。
妊娠中の鎮痛解熱剤として、比較的安全に使用できるのはアセトアミノフェンです。
赤ちゃんへの影響は少ないとされています。
市販薬で言うと、カロナールAやタイレノールなどです。
妊娠中のお薬の使用には細心の注意を
妊娠中は、自己判断でお薬を使用することは避けましょう。お薬は飲んではいけないと無理に我慢することも禁物です。体の不調を感じたら、産婦人科の医師に相談することをおすすめします。
お薬に関することでお困りの方は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へご相談ください。
産科医療LABOでは、出産のトラブルについてご相談を受け付けております。医師の資格をもつ女性弁護士が対応いたします。お悩みの方は是非一度お問い合わせください。
この記事を書いた人(プロフィール)
富永愛法律事務所医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)
弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。