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産科医療補償制度とは

産科医療補償制度とは、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、2009年1月1日より始まった公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する、医療分野における日本で初めての「無過失補償制度」です。産婦人科医の医療に過失がなくても(無過失でも)、一定の要件を満たせば総額3000万円の補償が受けられます

どんなメリットがある?

総額3,000万円の補償金を受け取ることができ、重度脳性まひのお子さんがいるご家族の経済的負担を補填します。
また、専門家が原因分析した原因分析報告書を受け取ることができます。

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産科医療補償制度のメリット

総額3,000万円の補償金

受け取ることができます。

  • ・準備一時金(設備等看護・介護を行うための整備資金)600万円
  • ・補償分割金(看護・介護費用として毎年定期的に20才頃まで支給)
    2,400万円(年間120万円×20回)
  • ・ 準備一時金(設備等看護・介護を行うための整備
     資金)
    600万円
  • ・ 補償分割金(看護・介護費用として毎年定期的に
     20才頃まで支給)

     2,400万円(年間120万円×20回)
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産科医療補償制度のメリット

専門家が原因分析し、
原因分析報告書
受け取ることができます。

制度の仕組み

分娩機関を通して運営組織に掛け金を納付し、運営組織が損害保険会社に保険料を支払います。出産後、運営組織に補償対象と認定されると、運営組織が損害保険会社に保険金を請求し、保険金が補償金として支払われます
補償制度に加入している分娩機関で妊娠22週以降での出産をされた場合、出産一時金に掛け金相当額が加算されるため、妊産婦による掛け金の負担はありません。

補償の仕組み
  • ※1 運営組織が定めた標準補償約款を使用して補償の約束をします。
  • ※2 運営組織にて補償対象と認定されますと、運営組織が加入分娩機関の代わりに保険会社に保険金を請求し、保険金が補償金として支払われます。
  • ●この制度は分娩期間が加入する制度です。
  • ●加入分娩機関で出産された場合(22週以降の分娩)には、保険者から支給される出産育児一時金等に掛金相当額が加算されます。補償に向けた掛金は分娩期間が納付します。
原因分析・再発防止の仕組み

●原因分析・再発防止は、保険者から支給される掛金等で運営されています。

産科医、助産師、小児科医(新生児科医を含む)、弁護士、有識者等から構成される原因分析委員会によって、分娩機関から提出された診療録・助産録、検査データ、診療体制等に関する情報、および保護者からの情報等に基づいて医学的な観点で原因分析を行い、その結果が原因分析報告書として、保護者および分娩機関に送付されます。

補償対象となる条件は?

おおまかに説明すると、「お母さんのお腹の中で、1400g以上(32週以上)もしくは28週以上のお子さんが、お腹の中では元気な状態であったのに、分娩や分娩後に脳性まひになり、身体障害者障害程度等級1・2級相当になった」場合に補償されることになっています。

2015年1月1日から2021年12月31日までに出生したお子様の場合

1

出生体重1,400g以上かつ
在胎週数32週以上
または在胎週数
28週以上で低酸素状況を示す
所定の要件を満たして出生したこと

2

身体障害者障害程度等級1級
または2級相当脳性まひ

2022年1月1日以降に出生した
お子様の場合

1

在胎週数28週以上

2

身体障害者障害程度等級1級
または2級相当脳性まひ

補償対象除外となる基準

以下のいずれかの原因で発生した脳性まひでないこと

先天性の要因
(遺伝子異常など)

新生児期の要因
(分娩後の感染症など)

妊娠もしくは分娩中に
おける妊産婦の故意
または重大な過失

地震、噴火、津波
などの天災または戦争、
暴動などの非常事態

※生後6ヶ月未満で亡くなられた場合は、補償対象となりません。

身体障害者障害程度等級1級
または2級相当の脳性まひとは?

補償対象か迷った場合は、まずは出産した
分娩機関やかかりつけの小児科の先生に
お問い合わせください
足・体幹運動
障害

将来装具や補助具を
使用しなければ自力で立ったり
歩いたりできない

の障害

❶片腕が全く動かない

❷脳性まひにより両腕が動きづらく、
食事などが一人では困難

かなりの介助を要する

足・体幹・腕
総合的障害

片腕に著しい障害
片足に著しい障害など

どうやって登録する?
登録されているか調べる方法は?

現在ほぼ100%の分娩機関が産科医療保障制度に加入しています。
産科医療保障制度に加入している分娩機関での出産であれば、出産時に登録証が配布されます。
登録後、登録証の控えが返却されますので、出産時の書類ををもう一度見てみてください。
分娩機関が制度に加入しているかはこちらからご確認ください。

補償申請にあたっての注意点

補償申請期間は満1歳の誕生日~満5歳の誕生日までです。

  • ・出生日が2022年1月1日の前後で補償対象の基準が変わります。
  • ・補償対象の認定は身体障碍者手帳の認定基準で認定するものではありません。
  • ・分娩機関が損害賠償責任を負う場合、産科医療保障制度の補償金は損害賠償金に充当されるため、補償金と損害賠償金を重複して受け取ることはできません。

「産科医療補償制度について知識豊富な弁護士に相談を」で詳しく説明しています。

補償申請方法

まずはお子様の主治医に産科医療補償制度の補償対象になる可能性があるかご相談ください。補償対象となる可能性がある場合、お子様が生まれた分娩機関に連絡し、必要書類一式を取り寄せるように依頼をします。
詳しくは公益財団法人 日本医療機能評価機構 産科医療補償制度の補償申請についてをご覧ください。

補償申請ができる人

脳性まひのお子様の保護者(親権者または未成年後見人であって、お子様を現に監督・保護している方)です。

お問い合わせ先

産科医療保障制度専用コールセンター
受付時間 / 午前9時 - 午後5時
(土日、祝日、年末年始を除く)
分娩機関の明らかな過失が疑われる場合

充実した内容の原因分析報告書が得られます

補償金の支給が決定されると、分娩機関のカルテや保護者からの情報などを検討して、脳性まひに至った原因を分析し報告書を作成する手続きが行われます。
分娩機関側の明らかな過失が疑われる場合、産科医療保障制度の申請から弁護士が関わることで、原因分析でより具体的な検討をしてもらうことができ、損害賠償請求を行うこととなった場合に分娩機関との交渉に参考になる可能性があります。

原因分析報告書の作成の流れ

1
分娩機関およびお子様・保護者等からの情報収集

分娩機関および
お子様・
保護者等からの情報収集

2
原因分析報告書の作成

原因分析報告書の作成

3
分娩機関およびお子様・保護者への報告書送付

分娩機関および
お子様・
保護者への報告書送付

「原因分析のための保護者の意見」
作成時のサポート

原因分析が行われる際、まず分娩機関から提出されたカルテなどをもとに作成された「事例の概要」が保護者に届きます。この「事例の概要」に対して、保護者自身が見て感じたこと、記憶と違うことなどを保護者の意見として提出します。その際に疑問・質問があれば記載して提出することができます。
申請時から弁護士が関わることで、保護者からの聞き取り内容を詳しくまとめ、カルテなどから事例の問題点を洗い出し、詳細な質問事項を作成することが可能です。
当事務所でも、出産後早期に相談に来ていただけたことから、産科医療補償制度の申請、保護者の意見作成から関わることができ、原因分析報告書に具体的な内容を記載してもらえたことで、その後病院との交渉を有利に進められたケースがありました。

分娩機関との交渉ができる

すでに原因分析報告書を受け取っている場合でも、その内容や分娩機関のカルテを調査することにより、分娩機関の過失の有無を検討することができます。これは法律的な知識だけではなく、産婦人科に関する経験と医学的専門知識が必要となります。
調査の結果、法律上の過失があると判断された場合には、分娩機関に賠償責任を求めて交渉を行います。

産科医療補償制度について知識豊富な
弁護士に相談を

産科医療補償制度から補償金を受け取っている場合、通常の交渉と損害賠償金額の考え方が変わってきます
産科医療補償制度では、「分娩機関に損害賠償責任がある場合は、産科医療補償制度が存在しない場合と同様に、損害賠償責任に関する金銭を自ら全額負担するという考え方に基づき調整を行なう」(標準補償約款第8条、加入規約第26条)と規定されています。
つまり、分娩機関(産婦人科クリニック・病院など)が損害賠償責任を負うことになり損害賠償金が確定した場合には、本来であれば分娩機関が支払うべき金額の一部を、産科医療補償制度が支払っていたと考えられるため、すでにもらっていた支給額は、損害賠償請求金から差し引かれてしまいます。
例えばすでに産科医療補償制度から1,000万円の支給を受けていた場合、示談や判決で8,000万円の支払いが命じられても、分娩機関は賠償金8,000万円のうち、産科医療補償制度に1,000万円分を返還、残りの7,000万円をお子様・保護者に支払うということになります。

賠償金(8,000万円)の内訳

賠償金(8,000万円)の内訳

この事情を知らないで示談交渉を進めてしまうと、すでにもらっていた1,000万円とは別に、あと2,000万円分が産科医療補償制度でもらえると思っていたのに、実際には、支給を求めても「すでに分娩機関から全額の補償を受けていて、損害賠償責任が認められた場合には、産科医療補償制度では補償できません」と言われてしまうことになります。産科医療補償制度と損害賠償請求権について熟知している弁護士に依頼しないと、交渉時に後のトラブルを残してしまうことになりかねません。

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