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新生児呼吸窮迫症候群

生まれたばかりの赤ちゃんは免疫力が弱く、体のつくりも未熟なため、様々な病気にかかりやすいです。
また、生まれるまでの過程においても病気を発症することがあります。
ここでは、赤ちゃんに起きる、重症化すると危険な症状や、脳性まひにつながる可能性のある病気を中心に紹介します。

新生児呼吸窮迫症候群

どんな病気?

新生児呼吸窮迫症候群は、肺の発達が未熟で、呼吸がうまくできない状態になることをいいます。これは赤ちゃんの肺の成長がまだ不十分で、肺サーファクタント(肺胞の表面張力を減らして膨らみやすくする化学物質)が不足していることが原因で起こる病気です。予定日より早く生まれた早産の赤ちゃんに多く見られます。特に1500g未満の極低出生体重児、32週未満の早産児、糖尿病母体児や帝王切開で生まれた赤ちゃんなどはリスクが高くなります。

どんな治療を
するの?

酸素吸入や人工呼吸による換気補助をして、十分に換気ができている間にサーファクタントの生成が始まれば4日程度で呼吸窮迫症候群は消失します。また直接的な治療法としてサーファクタント補充療法を行うこともあります。

赤ちゃんは
呼吸が速い?

赤ちゃんが1分間に行う呼吸数は、40~50回といわれています。大人は通常15~20回ぐらいですので、倍以上といえます。生まれたての赤ちゃんは口で呼吸をすることが上手ではないので、鼻だけで呼吸をしています。また腹式呼吸で息をしているので、お腹が上下しているのが赤ちゃんの正常な呼吸です。鼻に分泌物が詰まったりすると、息が荒くなったり、ゼロゼロというような呼吸音が聞こえることがありますが、哺乳などによる分泌物の影響であれば一時的なものです。機嫌がよく、おっぱいやミルクがちゃんと飲めていれば問題がないことが多いです。

こんな時は病院に行きましょう

新生児で1分間に60回以上呼吸をしているときは、多呼吸と考えられます。また、ゼーゼーというような呼吸や顔色が悪く苦しそう、爪や唇が紫色になるなど、なにかおかしいと感じたらすぐに医師に相談する必要があります。
また、赤ちゃんの呼吸は眠っている時に止まっているように思える場合があります。10秒間隔程度で息をしていれば大丈夫ですが、無呼吸が10~20秒程度続く場合は無呼吸発作を起こしている可能性があり、呼吸機能の働きが未熟な、生まれたばかりの赤ちゃんは「乳幼児突然死症候群」に繋がる場合もありますので、早急に病院を受診して精密検査を受ける必要があります。

似ている病気

新生児呼吸窮迫症候群に似た症状に「新生児一過性多呼吸」があります。これは分娩時に肺の中に過剰な水分が残っていて、一時的な呼吸困難が起こって、多呼吸が起こる病気ですが、肺の中の水分がなくなると症状は改善されます。ほとんどが一時的で2~3日以内に改善しますが、酸素投与による治療が必要になるケースもあります。

赤ちゃんの
人工呼吸管理は
どういうことを
するの?

赤ちゃんは生まれると今まで胎盤を通して、お母さんから受け取っていた酸素を、呼吸することによって、自分自身で取り込まなければならなくなります。この呼吸(胎盤循環から肺循環へ)の切り替えがうまくできないと呼吸障害を引き起こします。
生まれたばかりの赤ちゃんは呼吸障害が多く、10%は自分で呼吸を始めるために刺激を必要とし、3%はバッグバルブマスクで空気を鼻から送り込んで気道を広げる、陽圧呼吸を必要とします。また、2%の赤ちゃんは気管にチューブを挿入(気管挿管)したり、鼻マスクをしたりして呼吸をサポートする必要があります。


生まれたての赤ちゃんに必要な処置は、新生児蘇生として確立された方法があります。小児科医だけでなく、ほとんどの産婦人科医や助産師は新生児蘇生の講習を受けて最低限の新生児蘇生が行えるよう訓練を受けています。人工呼吸の適応は、蘇生の初期処置後の無呼吸、あるいは心拍数が100/分未満の場合とされており、出生から遅くとも60秒以内に人工呼吸が開始されることが求められています。赤ちゃんへの心臓マッサージも必要な場合や方法が定められています。特に、赤ちゃんに酸素が足りないのは危険な状態なので、赤ちゃんの酸素飽和度(SpO2)を生まれてすぐに測定し、その数値に応じてバッグバルブマスク換気、気管挿管が必要かどうか判断する必要があります。


赤ちゃんの気道は大人と咽頭の位置が違います。それは赤ちゃんが授乳中でも呼吸を確保できるように鼻呼吸が主体なためで、それを可能とするために大人と比べると咽頭が頭側に位置しています。また呼吸器官の発達も未成熟なので、気管挿管の手技や酸素の投与量など、赤ちゃんの人工呼吸器での呼吸コントロールは細心の注意と管理が必要となります。
未熟児や新生児期の重篤な疾患により、約1.2%の新生児に対して気管挿管などの人工呼吸が行われています。

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